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2007年4月20日 (金)

許し合える世界

 子どものいいところは、いやなことがあってもすぐに忘れることである。喧嘩をしてもすぐに仲直りをする。

 大人の世界はそうではない。『史記』を読めばよくわかるが、人はうけた侮りや屈辱を決して忘れず、おもてには出さなくても、仇をかえす機会をひそかに狙っているのが普通である。

 アニメは子どもの世界観を反映するので、登場人物同士が喧嘩をしてもすぐに仲直りするようになっていた。

 NHKが放送した『アニメ三銃士』の大ボスのリシュリー卿は「うらぎり者は二度うらぎる」が口癖で、うらぎり者を許さなかったが、これが大人の論理である。

 『戦闘メカ ザブングル』では、中心人物のひとりであるラグ・ウラロは、主人公のジロン・アモスへの嫉妬から敵にまわって、元の仲間たちを窮地におとしいれる。大人の世界なら、裏切りはぜったい許さんということになるのだが、のちにラグの改心は受け入れられ、また仲間に戻ることができる。

 ザブングルはそういった点でリアルではない、ユルいという批判もあるが、そもそも絶対的な悪人を作らないことを含めて、ザブングルの許し合える世界は、気持ちがよい。ザブングルの終わりの歌「乾いた大地」は「もしも友と呼べるなら 許してほしいあやまちを」で始まるが、ザブングルの許し合える世界をよくあらわした好曲である。

 子ども同士の許し合えるザブングルの世界に比べて、Zガンダムは許し合えない世界を描いて苛烈である。Zガンダムのレコア・ロンドは、仲間から満たされないので、なんとなくそれまでの味方から離れて、敵側についてしまう。これは、ザブングルのラグと変わらないふるまいだが、ラグが戻ることができるのにレコアは戻ることはない。また、気分にもとづいたあやふやなうらぎりのせいで、レコアは、「欲求不満女」と、Zガンダムできわめて評価が低い。

 子どものラグと大人のレコアという差はあって、まあ大人だからね、と結論づけることもできるのだが、ザブングルだったらねぇと、レコアの不幸を不憫に思うのである。

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