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2006年9月24日 (日)

旭山動物園の成功の秘密 その一

 旭山動物園は、平成十七年に二百六万人の入園者があった。これは、上野動物園の三百十万人についで、日本第二位の数字である。旭山動物園には全国から動物園関係者が視察に訪れているという。

 だが、視察に訪れた動物園関係者は、意外とたいしたことがないなと思ったのではないか。

 動物に与えられた空間は広い。その空間で動物たちを積極的に動かす。行動展示は旭山動物園の代名詞である。クモザルなどは、クスリでも与えられたのではないかと思うぐらい、ぐるんぐるんと動いている。アザラシにペンギン、それにホッキョクグマ。積極的に動く姿をみると、動いてこそ動物と感じる。

 しかし、それなら日本のどこの動物園でもできるはずである。うちも飼育舎を改造してみよう。テレビドラマになったり、バラエティ番組でとりあげられたから、こんなに人気になっていいね。などと、視察した人びとの思いはさまざまだろうが、局所的なものの見方をしていては、旭山動物園がここまでお客を集めるようになった理由はわからない。

 旭山動物園には、遊園地がある。観覧車やジェットコースター、ゴーカート場がある。来園者のほとんどが動物目当ての今となっては、古びたそれらはとても場違いな感じを与える施設である。それでも1983年に約六十万人が来園し、その後の「冬の時代」を迎える前に、旭山動物園が入園者のピークをつくったさいの原動力に遊園地はなっている。

 私は妻と子ども三歳三ヶ月と一歳三ヶ月を連れて、2006年の八月に旭山動物園に行った。そのとき、子どもの希望もあって、遊園地で遊び、観覧車に乗った。観覧車から動物園を見下ろして、ああ小さいと驚いた。上から眺めると、旭山動物園はそう広くない。

 旭山動物園の地図を紹介しよう。
http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/
から、「園内マップ」を選び、拡大図を見てほしい。

地図中央の「あざらし館」の左上の「遊園地」の字のあたりに観覧車がある。そこからの眺望なのだが、「ぺんぎん」「あざらし」「ホッキョクグマ」「もうじゅう」「チンパンジーの森」のあたりに主要な動物は固まっている。それぞれの建物が縦に大きく、下にいては、建物にさえぎられて動物園そのものの広さは感じなくなっている。

 旭山動物園は正門から東門まで、勾配がつづく丘陵地にあるので、唯一正門側は開けているが、正門から東門を結んだ線に九十度にまじわる方向は、よく見えない。

 そのときに、悟ったのである。旭山動物園の成功は、動物園のテーマパーク化にあると。

 そりゃあたりまえでしょ。動物園は動物をテーマにしたパークなんだから、と思ってはいけない。

 私がいうテーマパークとはディズニーランドやUSJのようなものである。すなわち、旭山動物園にあるのは、飼育舎ではなく、パビリオンあるいはアトラクション施設なのである。ディズニーランドやUFJである建物に入って、そこでピーターパンの冒険やショーを見たりするように、旭山動物園はある建物に入って、動物が動くというショーを見るのである。

 建物内に入るところが多いのも特徴である。ディズニーランドの一つ一つのアトラクション施設が他のアトラクション施設との結びつきを断ち、それぞれの建物の中で一つの世界をつくる。旭山動物園の「ホッキョクグマ館」「ぺんぎん館」「あざらし館」はずばり、テーマパークのアトラクション施設の発想でつくられている。

 旭山動物園は、さすが動物園だから広いことは広い。しかし、その広さも、旭川という都市の規模に比例するものであって、日本には旭山動物園よりも広い動物園がたくさんある。

 しかし、旭山動物園はその適度な狭さを利用して、アトラクション施設と化した飼育舎を集中的に配置することで、時間のない(バスツアーなどの)観光客にも満足できるようになっている。

 たとえば、埼玉子ども自然動物公園をみてみよう。
http://www.aya.or.jp/~sczoo/map/mapf.htm

この動物園は目玉のコアラの部分方向と、西門へ向かう(坂になっている)方向と、来園者の動線が二つに分かれている。
 だから、それぞれの飼育舎を行動展示できるようにしても、旭山動物園と同じような建物を作っても、お客は集まらない。
 旭山動物園は、発想がもう動物園ではない。動く生き物を見るテーマパークとして再生したのである。

**翌日に続きます。推敲が十分でないので、後日書き直すかも知れません**

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