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2006年9月20日 (水)

横のものを縦に

 国語教師として、現代国語の試験問題をたくさん扱ってきた。読んだものの中には、一読して、これってフーコーだね、これってベンヤミンだよ、これはバフチンの理論だ、などとわかる、有名な現代思想をまんま使っているものが少なからずあった。こっちもプロなので、現代思想の主なものは当然知っている。
 偶合の場合あるだろう。原典がそんなに硬くない内容の出版物で、いちいち援用した思想の出典を述べる必要がなかったのかもしれない。また、問題に採用される時点で、解答者の頭をわずらわせないように、「××の○○によれば」という箇所を省いてしまったのかもしれない。
 だが、人が知らないだろうと思って、横のものを縦にしたものがいちばん多いようだ。そういうものを読むと鼻で笑ってしまう。

 もうひとつ、困ったパターンに、「××の○○を日本にあてはめると」といった文章がある。外国の思想をちゃっかりと自分の意見のようにして分析を行うのに比べると、正々堂々として立派でよい。
 そういった文章は、「○○を日本に適応する場合に注意しなければならない点がある」とよく書いてある。現代国語の問題に使われている場合、たいていその「注意しなければならない点」を答えるようになっている。
 ここで笑ってしまうのは、程度の差もあって、なんとか適応の誤差範囲になっていることもあるのだが、「注意しなければならない」のは、適応に無理があるからと思わせる場合もそれなりにあるからである。
 「あんた、もともと無理なんだよ」と、試験問題を手に心の中でつぶやいている。

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