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2006年6月13日 (火)

美しい日曜日

 ワールドカップドイツ大会にちなんで、ドイツ語にまつわる話を一つ。

 大学で選択した語学はドイツ語だった。大学に入って、英語をほとんど勉強しなくなり、かつドイツ語を一生懸命に勉強したので、教養課程の頃は会話なら英語よりもドイツ語の方がしゃべれそうだと思っていた。
 しかし、いまに至るまでに抜け落ちて、ドイツ語のことはほぼ何も覚えていない。
 唯一、覚えているのは、次の出来事だけである。
 一年生の一学期のなか頃、ある休みどき、Oさんという女の子がドイツ語問題集の日本語訳をしていた。ドイツ語のことは、からっきしダメになったので原文がどうだったか思い出せないが、Oさんが「『宿題もできていないのに、美しい日曜日だ』ってへんなの」といった。
 近くに座っていたUが、「schönとschonを間違えているだろう」と即座にいった。「schön」は形容詞で「美しい。晴れた。すばらしい」という意味だが、「schon」は副詞で「すでに。もう」という意味である。Uは、ジャニーズに行っても通用しそうな美男子にもかかわらず、実はすごーく頭がよく、かつ日頃から勉強が趣味だった。
 私はかすかな好意をOさんにいだいていたのだが、勉強は今も昔も急場にならないとやらないたちだったので、何も言えずに、そのあとUがOさんに勉強を教えているのを、べつに興味もなさそうなふりをして見ていた。
 Oさんとは、九年前に井の頭線でたまたま乗り合わせていらい、Uとは専門課程の大学構内でタバコをふかしているのを、おなじく九年ほど前に見ていらい、会っていない。
 その後、なまけものの私は、数々の「美しい日曜日」を迎え、その無情な「美しさ」にため息をつきつき、今日まで生きている。

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