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2006年5月14日 (日)

殿・様 その二

 「殿・様」(2006.05.08)についてmasapfさんから、

>私は初対面というか、初めてメールを書く上役の人に殿を使うことに違和感を
>感じていました。「様」でしょうと。
>肩書きの扱いにもつながることなのですが、私は「氏名+様」が自然だろうと
>思っていました。あまりそこに常識のずれはなかったようで、ほっとしました。

のコメントをもらったので、そのことについてもう少し。

 ここにきて、「殿 様」でグーグル検索をかけたところ、思ったとおり、結果は百花繚乱。ハテナのクエスチョン欄(http://q.hatena.ne.jp/1114132834)など、ほんと人それぞれです。

尚智庵さんのホームページで、紹介されている<芳賀矢一・杉谷代水合編「書翰文講話及び文範」>の<上巻 「第十一講 手紙の礼法」より 「殿と樣」>(http://www.shochian.com/bunrei/tonosama.htm)に、

[殿と樣] 今日では官名、公名には殿を用ゐ、私名には樣を用ゐることになっている。此の殿と樣の書き方が昔は非常にやかましく、七通りも八通りもあったが、つまり上輩ほど楷書に近く書き、下輩ほど草書にし、最も卑(ひく)いところへは假名で書くのである。(章末に委しく延べる)こんな煩瑣(はんさ)な事は今日では行はれぬが、目上に対する時楷書に近く念入(ねんいり)に書くことだけは心得ておかねばならぬ。

(ページ作成者注: 現在でも年輩の方の中には、下が「永」の「樣」を「永様」、「水」の「様」を「水様」と呼んで使い分ける人がいる。)

と説明されているのが、おもしろかったです。単なる「殿」「様」の違いだけでなく、楷書、草書の違いで敬意が異なるとはなかなかのものです。もとのホームページには、「殿」「様」の字体の画像まで収められています。

  『書翰文講話及文範』は、芳賀矢一と杉谷虎蔵(代水)の共編で、富山房から大正2に刊行されています。芳賀矢一は明治末から大正にかけて活躍した(この世界では)有名な国文学者。こういった本は、文学博士の芳賀矢一は名義を貸しているだけで、おそらく執筆は杉谷虎蔵がほとんど担当したと思われます。

補記:リンクをつけているせいでしょうか。外国からのスパムがしょっちゅうつくので、この記事へのコメントの受付を停止します(2007.5.14)。

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