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2006年3月30日 (木)

ご主人様

 大学一年のころ、麻雀をよくやっていたのだが、先輩のうちでの徹夜麻雀の明け方、ある先輩がテレビを消さないかと言った。私は徹夜のため朦朧としながら、牌をにぎっていたので、ほとんど注意を払っていなかったが、テレビでは動物のコーナーが流れていた。
 「ボクは、犬のポチだワン。ご主人様と一緒に散歩をするのが何よりの楽しみだワン」とか、わかるはずもない動物の気持ちを一人称で、しかも「だワン」とか「だニャン」とか、その動物の鳴き声を末尾につけて、女子アナウンサーが甘ったるくしゃべるコーナーだった。
 言われてみると、ご主人様という言葉が頻出して、しかも、女子アナウンサーが甘ったるくしゃべるのだが、気色のわるいことこのうえない。今思えば、女子アナウンサーに「ご主人様」と言わせてみたい放送作家の悪趣味だったのかもしれない。
 うむ、消そうということになってみると、その番組の音声はいちおうは聞こえていたわけで、なぜ今まで自分がそういったことを気にしなかったかと、不思議である。
 巷間メイド喫茶が大流行だが、「ご主人様」と言われてみたい気持ちがよくわからない。妻が電話で「主人は~」と言うのを一度だけ聞いたことがあるが、変な気持ちだった(たいてい「夫は」と言っているはず)。あたりまえだが、妻から「主人」とも「ご主人様」とも言われないからである。
 高校時代の同級生で、犬は肛門が見えるのが嫌いと言っていたのがいた。今思えば、ある先輩が気にした「ご主人様」をはじめとする甘ったるい台詞も、犬の肛門のようなもので、こだわるかこだわらないかは言葉への想像力の問題であろう。

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