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2006年2月25日 (土)

差別語 その四

 高木正幸『差別用語の基礎知識』は、差別用語の実例の収集の面では、堀田貢得『実例・差別表現』と大差ない。しかし、姿勢が根本的に異なる。
 長くなるが、25・26頁より一部を引用すると、

 「差別語」「差別表現」問題が起こるのは、被差別部落問題や人種問題などの「差別」の現実が、存在しているからである。差別するものとされるものとが、社会、日常生活の中できわめて明確になお存在し、対峙している現実を否定出来ないからである。(中略)そのような差別を生み出している社会構造、社会関係そのものを変革することが必要である。いわゆる差別表現があたかもそれ自体として実在しているかのように信じ込まされている意識、生活状態の克服、解放が必要だということである。
 そういう人間関係、社会関係そのものの変革がない限り、「差別語」「差別用語」問題は解決しないに違いない。ある言葉、ある表現だけを「差別語」だ「差別表現」だ、と言挙することは、言葉を基盤とする自由な社会にタブーをつくり、隠微な関係を醸成するだけである。(中略)
 「差別語」「差別用語」問題は、差別語、差別表現とされる言葉を単に使ったからではなく、差別語、差別表現を使って差別しているかどうかが問題だということである。(中略)必要なことは、差別され、低位にみなされている人の心を傷つけず、偏見を与えぬ心くばり、思いやりであり、差別されたとして抗議、糾弾する側にも、相手に差別の意思が明確にあるかどうかを十分に判断する、慎重さと雅量が期待されるのである。

とある。もっとも、実例は収集にとどまり高木正幸の判断が付け加えられることはない。この本で興味を引くのは資料編の筒井康隆断筆宣言の経緯だろう。筒井康隆の断筆宣言が、てんかん協会への批難ではなく、過剰な自主規制を行う出版業界に向けられたものであることがよくわかる。

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