« 演劇のビデオ化 | トップページ | 仕事中に »

2006年1月26日 (木)

演劇のビデオ化2

 劇場のアルバイトをしたときに、かつて何度も一緒に仕事をしたことのある知り合いのNさんが舞台監督をしている小劇場のお芝居が入ったことがあった。Nさんは私よりも十歳ほど年上で、小柄だったが、仕事の出来る人だった。普通の舞台監督さんに比べると、格段にやさしいので私は仕事がやりやすかったが、それでも一本筋の通った人で、締めるべきところはきちんと締める人だった。
 そのお芝居は撮影用の日があって、撮影用の車がきて、撮影機材がきちんと入って、お芝居の撮影が行われた。ところが、持ってきた機材の電源系に問題がおきて、芝居の途中から撮影できなくなってしまった。
 そのときの制作は、若い男の人だったが、おろおろしながら、終演後に劇場の使用時間を延長して撮れなくなったところから続きを撮れないかと、本番中に劇場側に相談してきた。機材をもう一日調達するための費用、座席をつぶしてカメラを置いたことによる減収を考えると、撮影機材・スタッフの延長料金、劇場の延長使用料金と役者・スタッフへのギャラ(小劇場の場合かなり安い)の方がまだ安くつくとふんだのだろう。
 その日の責任者Tさんは、うちは別にかまいませんよと言ったので、延長がなされるもの、といった気分に私もなった。他の人はともかく、アルバイトの私は時給制なので、望むところであった。
 終演後、制作の男性が、舞台の片づけをまだしているNさんに、事情を説明して、撮れなくなったところから続きをやって貰えませんかね、と提案したところ。Nさんは、「バカヤロー、芝居ってもんはな、そういうもんじゃないんだ」と一喝した。その一声で撮影は別の日にやりなおされることになった。
 冷静に考えれば、その芝居は笑いの場面が少なかったものの、客席の反応がない部分をつなぐのは変だったろうし、トラブルは機材を持ってきた会社に責任があったようなので、無料で撮りなおしてもらえたはずである。
 しかし、Nさんの発言はそういったことを抜きにしてのものだったと思う。
 Tさんは、「バカヤロー、芝居ってもんはな、そういうもんじゃないんだ」という文句が気に入ったらしく、その後何度も冗談でつかっていた。

|

« 演劇のビデオ化 | トップページ | 仕事中に »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/103175/8341045

この記事へのトラックバック一覧です: 演劇のビデオ化2:

« 演劇のビデオ化 | トップページ | 仕事中に »