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2005年12月30日 (金)

尊敬していると

 野村克也『野村ノート』(2005.9。小学館)には、いちいち誰が年賀状をくれる、誰がくれないといったことまで述べてある。これを野村克也の細かさと笑うのは簡単だが、教え子が自分にどのように接するかというのは、教師の、人を教える立場にあるものの自然な関心事である。
 不思議なのは、野村克也の愛弟子であった古田敦也が野村に年賀状一つよこさないということである。いくら忙しいとはいえ、古田にとって野村は大恩人のはずである。年賀状をよこさないのは、古田が筆無精で、誰にも年賀状を送っていないということなのだろうか。古田の妻は中井美穂だが、元フジテレビのアナウンサーが、そういった状況を見すごしているのだろうか。
 これについて、古田はあえて野村に年賀状一つ送らないのだと考えている。
 尊敬している相手は超えられない、というのが学問の世界の真理である。先人の業績を崇拝し、心酔しきっては、それを超える業績は残せない。表面的には尊敬していても、なあに、そんなもの、と心の底で思っていなければ、先人の手の平から抜け出せない。先人を乗りこえる気概のあるものは、先人を盲目的に尊敬しない。
 古田の場合も、監督であった野村を超えるのだという気持ちがあっての態度ではないか。
 もし今後、古田が野村に年賀状を送るようになったとすれば、それは古田自身が野村を超えたと感じたときであろう。

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