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2005年9月 8日 (木)

アイデアのつくり方

 ジェームズ・W・ヤング『アイデアのつくり方』(今井茂雄訳、竹内均解説、阪急コミュニケーションズ、昭和63)は、アマゾンではなぜか読者の評価が高い。本自体は小さく、ほぼ新書版のサイズに訳文が五十八頁、竹内均の解説が二十三頁、訳者あとがきが十二頁しかないうえに、紙面は余裕を持って組まれ余白が多い。本と言うよりパンフレットである。アイデアが出なくて困ったときに、アマゾンの評価を頼りに藁をつかむつもりで買ったのだが、購入前にこの本を立ち読みできたら、この本を買うことはなかっただろう。私は本の重要箇所に付箋を貼るか、はじを折るかする習慣があるのだが、この本で端を折ったのは三ヶ所に過ぎず、立ち読みで済む程度だったのである。
 アマゾンの読者評価のうち内容を説明しているものがあるので、興味がある人は参考にすればよいが、私にとって、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」(28頁)があたりまえとはいえ金言だった。この本で他に見るべきところは、アイデアを組み合わせるための資料の集め方ぐらいだろうか。
 発想法というのは、この『アイデアのつくり方』の意見が、ほぼ正解のようで、野口悠紀雄『「超」発想法』(講談社、平成12)は、発想法の基本五原則として
 1、発想は、既存のアイディアの組み換えで生じる。模倣なくして創造なし。
 2、アイディアの組み換えは、頭の中で行なわれる。
 3、データを頭に詰め込む作業(勉強)が、まず必要。
 4、環境が発想を左右する。
 5、強いモチベーションが必要。
を主張している。
 『「超」発想法』は、対象とする読者層がサラリーマンというところもあるのだろうが、野口悠紀雄の本としては、ややゆるめの紙面が組まれている。基本五原則以外の内容は敢えていえば付け足しであって、発想法とは根本は非常に単純なものであることがうかがえる。
 
 ついでながら、私がなにかを思いつこうとするときの話を書いておく。発想に煮詰まったときは、対象としている資料を深く読み直すか、あらたな資料を読む。特に読み直しというのは重要で、文学の答えは小説の中にしかないと思っている。そして、始終考えることである。考え続けなければ決して答えは出てこない。出た発想はぼうっとしていると消えてしまうので、すぐさま書き留められるように、私の家の中はメモ用紙とペンがあちこちに置いてある。あらたな資料は脳に刺激を与え、ものの見方を広げてくれるのだが、論文にする場合は、ある程度に見る資料を打ち切らねばならず、その兼ね合いが難しい。
 「始終考えろ」、「すぐさまメモを取れ」というのも『「超」発想法』が勧めているやり方だが、私の場合本を読んでそうしようと思ったのではなく、必然的にそうなった。
 なかなか出ない答えを考えるのは、苦しみであると同時に人間にとって本能的な楽しみである。そこが、私を研究に向わせる動機になっている。もっとも、ビジネスの世界では悠長なことは言っていられないのだろうが。
 

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 アイデアの作り方を紹介しているブログがあった。http://iwademo.c [続きを読む]

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