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2005年8月 9日 (火)

映画『800』のことなど

 『800』という八百メートル走を題材にした映画が平成六年に作られている。私は平成七年ごろにレンタルビデオでみている。川島誠の小説が原作なのだが、もとがマガジンハウスから出版されていたこともあり、今年の六月に角川文庫に収められるまで、原作があることに気づいていなかった。小説は八月現在も近所の書店に平積みされており、買う予定はないが、気になってはいる。
 私は剣道部に所属していたものの、足を見込まれ、中体連の八百メートル走の選手に学校代表として選ばれた経験がある。八百メートル走は陸上の中でそれほど人気のある種目とは思えないので、それが映画になったとは驚きであった。
 映画では、がむしゃらな肉体派と頭脳派と二人の男子高校生の走者が主人公であり、同じく陸上選手の女の子や亡くなった男の先輩などと、三角・四角関係が描かれている。映画そのものはだいたいよく出来ていたと思う。
 ただ、二人が高校総体の県大会の場で雌雄を決する最後の場面がいただけなかった。高校総体の県大会なので、よい競技場が使われているのだが、エキストラを集める予算がなかったのか、観客席がガラガラである。
 そのくらいはまあ目をつぶるとして、致命傷だったのは、二人の役者に八百メートルをそのまま走らせてしまったことである。力走しているのだが、いかんせん遅いのだ。二人だけで走らせるわけにはいかないので、おそらく大学の陸上部から人を呼んできて、エキストラとしてうしろを走らせているのだが、これがあきらかに流しているとわかる走り方なのである。意地の悪い私は、ビデオを巻き戻して、いったいどのくらいで走っているのか、ストップウォッチで計ってみた。昔のことなので記憶が曖昧だが、二分半を優にこえていたと思う。私の最高記録が二分二十一秒だった(気がする。これはかなりうろおぼえ)こともあって、すっかり興ざめしてしまった。
 八百メートルを全部走らせるのを流しで撮るのではなくて、四百メートル走ぐらいの迫力で走らせてそれを編集すればよかったのである。それに比べると映画『ピンポン』は、編集に特殊効果を重ねることで、うまく卓球の場面を描いて、卓球好きも満足できたのではないかと思う。
 なお、八百メートル走のことを「走る格闘技」と、ビデオの箱および小説裏表紙解説は紹介している。百メートルの選手が、腕が当るというので、私とトラックを走るのをかなり嫌がっていたことを思い出した。私自身、剣道をしていたこともあって、少しも格闘技とは思っていなかったが。
 

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