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2005年7月27日 (水)

カッパラッパのランニングマン

 十年ほど前の話しとなるが、江古田のストアハウスという小屋でカッパラッパという劇団によるランニングマンという芝居を観たことがある。細かいことは、屋根裏から当時のチラシや当日パンフレットをとりだせばもっと正確に語れるのだがそういった面倒くさいことはしないでおく。非常につまらない芝居だったのである。開演前に上演時間は一時間四十五分を予定しておりますといいながら、二時間も演じられてしまい、すしづめに座られていたこともあって、終演を心待ちにしていた私は客席係に終演後嘘つきと言ったような気がする。なぜそんなつまらない芝居を観に行ったかというと、当時、一緒に芝居をやっていた照明屋のIさんが、パソコンが副業という特技を生かしてCG制作に協力しており、かつ私はそのころ池袋に住んでいて劇場に近かったこともあって、観劇に出向いたのであった。
 パンフレットによれば所沢を本拠地とする劇団だそうだが、趣味性の強い劇団だった。Iさんが作ったCGは見事だったが、オープニングとエンディングの全く関係ないところに使われており、題名も中味と全くあっておらず、それだけでもたいしたことのない芝居であることはわかるだろう。芝居の中味はさらにひどく、あまりきれいでなく、かつ下手な女優達が着飾った衣装を着て、自己満足にひたっているのがありありと伝わってきたし。さらには、その女優達が芝居の内容に必要のない、その場回転によって、わざとミニスカートから下着っぽい衣装を見せるのには閉口した。
 にもかかわらず、カッパラッパという劇団のランニングマンという芝居は、私の中に強い印象を残している。
 芝居の梗概を簡単に述べると、たわし男という妖怪がいて普段はサラリーマンの恰好をして会社勤めをしている(たわし男の人は上手でしたよ)。たわし男は、妖怪であるがために同僚達にいじめられている。あるとき、たわし男は、同じく会社でいじめられている雷娘(ラムちゃんみたいなのではなく、高木ブーみたいなの)と仲良くなる。二人の仲は接近するが、結局雷娘も「だってあんたはたわし男じゃない」と、たわし男を見捨てるのである。
 こうかくと、差別をテーマにした深刻な芝居のようだが、そんなことはなくて、あくまでもたわし男の同僚たちが喜々としてたわし男をいじめるのをただただ眺める芝居なのである。普通こういった芝居には、メタな視点があって、同僚達の悪逆ぶりが観客に伝わるようになっているのだが、この芝居からは全くそういったことが伝わってこなかった。梅亭金鵞『七偏人』の現代版といってわかる人にはわかりやすいだろうか。観ているうちに、この芝居は弱い者をいじめて楽しんでいるところを見せるのが主眼で、差別の問題をとりあつかう気持ちは、本当にないのではないか非常に悩ませられた。演技力がない役者がやっている。ちゃんとしたテーマがあったのかどうかもわからない。にもかかわらず、重苦しい思いをするという大変珍しい芝居だった。
 

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