« お祝いの要諦 | トップページ | 苦手な数学 »

2005年6月19日 (日)

F先生

 高校三年生のときの担任のF先生は、慶應と東大を卒業した経歴ながら、なぜか長崎の片田舎で世界史の先生をやっていた。温厚篤実な紳士として知られるF先生は、荒くれ者が多い応援団の顧問を任されていたぐらいで、滅多に怒ることがなかった。私の高校には学習記録帳というものがあって、毎週の勉強時間を記録し提出させられていたのだが、私の勉強時間は大して長くなかった。学習記録帳を前に、高校三年時の面談をうけていたのだが、「Yはこれからの勉強でどのようなことを心がけるか」と質問された。こっちはふざけて「頭が良くなるように、たんぱく質を十分にとるように豆腐と納豆をたくさん食べるようにしております」と答えた。こちらとしては、叱られることは覚悟のうえだったが、F先生は一日どのくらい食べているのか、どのくらい食べれば効果があがるのか根掘り葉掘り私に尋ねた。
 秋頃に創立記念日で平日ながら授業が休みの日があるのだが、家人には授業がある振りをして、制服と鞄を持って家を出て、長崎市内の友人宅に麻雀に行く計画を立てていた。F先生は私の家からさほど遠くないところ住んでいて、私がバス停で待っているところに、ちょうど犬の散歩で通りがかった。咄嗟に、「今日は学校が休みなので県立図書館まで勉強に行きます」と聞かれもしないことをこちらからしゃべり、大に感心されて、事なきを得た。町立図書館ではなぜだめなのかと質問されれば往生したと直後に思ったが、それよりその日が月曜日であったことにあとで気がついた。実話である。
 ベルディのアイーダの凱旋行進曲がどんな曲か知っているかと名指しで質問されたことがあり、そのときは答えられなかったものの、すぐあとに知る機会があって悔しい思いをした。アイーダの凱旋行進曲は今ではサッカーの応援曲としてよくつかわれているので、メロディーを口ずさめば誰も理解できる曲である。フジのセリエAダイジェストのオープニングに使われたのが、早い例だと思うが、大学時代にセリエAダイジェストを見ると、F先生のことを思い出した。
 教師であるときは、日頃の素の自分とはやや違う、教師というペルソナをかぶって仕事をしているわけだが、私がかぶっているペルソナは多分にF先生の影響をうけていると思う。
 私が卒業後十四年経つが、F先生は現在副校長になっていることを昨年知った。素直に喜べる知らせだった。

|

« お祝いの要諦 | トップページ | 苦手な数学 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/103175/4614516

この記事へのトラックバック一覧です: F先生:

« お祝いの要諦 | トップページ | 苦手な数学 »